期待と不安に胸を膨らませ、新しい環境に飛び込む新人ナース。このころは、仕事を覚えることや職場の環境に慣れることだけで精一杯で、他には手が回らないという人も多かったはず。しかし実務を通して経験を積んでいくうちに、仕事を覚え、職場の環境にも慣れてくると、心に余裕ができてきます。周囲の様子も見えるようになり、言われた仕事だけでなく言われる前に仕事をしたり、創意工夫を凝らして効率よく仕事を行えるようになったりするものです。それからさらに実務を熟し、1人でも十分に戦力として数えられるようになったナースを中堅ナースといいます。
では具体的にどれくらいの年数勤めれば中堅と定義されるようになるのでしょうか。調べてみたところ、中堅の定義は職場によって違うようです。「働きはじめて3年目以降」と勤務年数で定めている職場もあれば、「30代の人」と年齢で定めている職場もあります。たとえ新しい職場に勤務することになったとしても、前の職場でその仕事の経験を積んでいる場合は中堅に含められることもあるようです。しかし多くの場合は、勤務年数が3年目を迎えており、役職についていない人のことを指します。ちょうどその3年目というのが、前述した通り1人でも十分に戦力として数えられバリバリ働くようになるころだからです。そのため一般的には戦力と数えられるまでに3年はかかることを覚えておきましょう。「憧れて挑戦してみたけど、ミスばかりしてしまう私は向いていないかも」というような不安に押しつぶされる必要はないのです。
中堅ナースの悩みとしてよく耳にするのは、「私はお局になっていないか」というものです。お局とは勤務年数が長く、同性の同僚や後輩の中で力を持っている女性のことをいい、一般的にはあまりいい意味では使われていません。そのため自分がお局と思われていないかと心配する中堅ナースは多いようです。
また中堅ナースになってくると一通りの仕事もできるようになり、ミスをしたときに注意やフォローをしてくれた先輩や上司も、それほど何も言わなくなります。注意されたり怒られたりしなくなり、ホッとする人も多いでしょう。しかしそれと同時に、もっと構ってほしいと思う人も中にはいます。特に尊敬できる先輩や上司を持っている人ほど、その先輩や上司に認められたいという気持ちが強く、「褒めて欲しい」「認めて欲しい」「もっとアドバイスしてもらいたい」「評価して欲しい」などと思うようです。ですが、どんなに頑張っても、先輩や上司は「よくやったね」と言うだけ。それ以上褒めてくれることはそう多くありません。周囲を見ると、なんとなく自分以外の人たちは、先輩や上司に構ってもらっているように見えてしまい、「どうして私は構ってもらえないのか?」「もっとアドバイスしてもらいたいのに…」と、不満や悩みを抱えてしまうことがあるようです。
同性の同僚や後輩に「私のことお局だと思ってる?」と聞いて、本当のことを言ってくれる人はそうそういません。もしそこで「お局だと思ってる」と返ってきた場合は、その人はあなたに嘘をつかない貴重な人といえます。その縁を大切にしましょう。しかし多くの場合は、気を使って「そんなことないよ」と言ってくれます。そのため自分で同僚や後輩の本音を感じ取ることが大切です。後輩の仕事にイライラしてしまう人やすぐ感情的になってしまう人、同性に気を使わられていると感じる人は要注意。感情が昂ぶってしまうのは仕方がないことですが、それを表に出してしまうと周りに迷惑を掛けてしまいます。一度席を外して気持ちを落ち着けたり、気を使わせてしまったら謝罪や感謝を伝えたりして、できるだけ周りに気を使わせないようにすることが重要です。
もっと先輩や上司に褒めてほしい場合は、先輩や上司の本音を考えてみましょう。あなたの先輩や上司はどうしてあなたに何も言わないのでしょうか。様々な理由があるでしょうが、「信頼しているから」「期待しているから」「評価しているから」という好ましい理由である可能性があります。先輩や上司から構われている人は、なにかしら構わなければいけない理由があるのです。まだ仕事に慣れていなかったり、ミスが多かったり、あまり好ましい理由ではないことも多いでしょう。「先輩や上司が構ってくれないな…」と感じたら、それはあなたが先輩や上司から、「評価され」「期待されている」ということかもしれません。それならばその期待に応えたいと、気持ちを上に向けることができると思いませんか?
中堅ナースに期待されているのは主にリーダー力。即戦力としての実力ももちろん大切ですが、中堅ナースになると職場の良くない面も見えてきます。周りを巻き込み、その良くない面の改善に乗り出してくれるリーダー力を期待されているのです。また中堅ナースはチームを組むときにリーダーに選出されることも増えてきます。リーダーシップを発揮してチームを纏めなければならないため、そこでもリーダー力が必要です。
リーダーとしてチームを引っ張り、成果を上げるにはチーム力を高める必要があります。チーム力を高めるにはどうすればよいのでしょうか。まず大切なのはチーム編成です。すでにチームが決められていることも多いですが、もしあなたがチームメンバーを決めることができる場合は、多様性に富んでだチームとなるようにしてみてください。ついつい自分と似ていて話しやすい人をたくさんチームに入れたくなりますが、その気持をぐっと押さえて年齢や性別、性格などが異なる人を集めるのです。人によって価値観や考え方は違います。見えていることもバラバラです。そのため様々な人をチームに入れることで、多様な意見を知ることができます。たとえばベテランナースに意見を求めれば、今までのたくさんの経験から学んだ貴重な意見を聞くことができ、新人ナースに意見を求めれば、固定観念を覆すようなあっと驚く新しい意見が飛び出してくる可能性があります。様々な意見をもとに最善を決めることができるのです。
そして、チーム力を高める上で何よりも大切なのはコミュニケーション。うまく回っていないチームの多くは上手にコミュニケーションが取れていないことが原因です。たとえば自分は伝わったと思っていても、実際には相手に伝わっていないことがあります。伝えるときの態度によっては、意図したものとは違う意味で受け取られてしまうこともあるでしょう。相手に何か伝えるときは、相手がどう受け止めるかよく考えて、自分の意見が正しく相手に伝わるように言葉を尽くすことが大事です。特に反対意見を出すときは配慮が必要。ただ相手の意見を否定するだけだと相手を傷つけたり怒らせたりする可能性があります。相手の意見を十分に尊重したうえで反対意見を伝え、最終的には建設的な着地ができるように心を配るようにしましょう。
Category : ナースのための処世術とは
あなたは部下や後輩が失敗をしたときに、思わず「カーッ!」と頭に血がのぼった状態で、激しく叱責してはいませんか?もし少しでも心当たりがあるなら、この叱責方法は、あまり効果的とは言えません。こんなときは、まずあなたが冷静になることが大切なのです。
最近の人は、他人とコミュニケーションを取ることが苦手だと言う人が多いようです。そんな人にオススメなのが、阿川佐和子さんの著書『聞く力-心をひらく35のヒント』です。あなたも「聞き上手」になって、コミュニケーション能力を高めましょう!
転職をすると、新しい職場に馴染めるだろうかと、心配になりますよね。こんなときは、どんなにキャリアがあったとしても、謙虚でいることが大切です。新人看護師になった気持ちで、新しい職場の上司や先輩看護師の言うことを素直に聞くようにしましょう。