後輩ナースを褒めて伸ばす処世術

部下を「伸ばす」「褒める」技術とは

部下を「伸ばす」「褒める」技術とは

部下を伸ばしていく方法

自分の仕事が認められて管理職に昇進!そうなったら、とても嬉しいですよね。
管理職の目標の基本は、部下とのコミュニケーションを良好にすることで、みんなの仕事を円滑に進められるようにすること。この目標を達成させるためにも、部下のモチベーションを上げられるデキる上司になっていきましょう。
そのために、上司が部下を褒めながら伸ばすことが大切です。仕事をやってみせて、言葉で説明して、本人にやらせてみせて、最後に褒めます。上手に褒めることで、「仕事をもっと頑張ろう!」という意識を引き出せるのです。ここでとても大切な「褒める」方法について、紐解いていきましょう。

部下のやる気を引き出す褒め方

褒めるときは、すぐに褒めましょう

部下を褒めるときは、すぐにその場で褒めましょう。周囲に他の看護師がいても、患者さんがいても、その人が素晴らしい役割をしたときはそう思った瞬間に褒めることが大切です。後で誰もいないところで褒めるよりは、その場で褒めてあげることによって相手に響く褒め方ができるからです。また、自分の言動(仕事)と褒められたことがセットとなって記憶されるので、仕事をすることが好きになるというメリットもあります。

同じことであったとしても、何度でも褒めましょう

「前に褒めたから分かっているだろう」と何度も褒めることをしない人がいます。たとえ同じことであったとしても、良いことをしたときには何度でも褒めましょう。何度も伝えることでその言葉が部下にきちんと伝わり、上司から認めてもらえていると感じることができます。また、何度も同じことを褒められることで「自分の才能」に気付くこともあります。

その部下の過去と比較して褒めましょう

つい「あなたは他の看護師と違って、気が利くし、仕事の手際も良くて、とても優秀ね」と他の人と比較して褒めてしまいがちですが、これは部下に不信感を与える結果になってしまうのでやめましょう。部下を褒めるときは「以前よりも、仕事の手際がよくなったわね」と、「過去のその人」と比較して、成長していることを褒めましょう。

失敗を褒めましょう

失敗をすることが、トラウマになるケースもあります。何かをするときに「前と同じように失敗するのではないか」と脳裏に浮かんで行動に移せなくなるのです。これは、部下にとっても組織にとっても良い状態ではありません。
こんな状態にならないために必要なのが、上司の褒め技術です。結果だけで良い/悪いの判断をせずに、プロセスなど褒めるポイントを探して伝えていきましょう。また、「今回は」と失敗したことを「期間限定」とするのです。「入職してすぐだし、ちょっと難しかったかな。気づきは良かったから、あとは経験を積めば大丈夫」などと伝えてあげられると良いですね。

第三者を主語にして褒めましょう

自分を主語にするだけが、褒める技術ではありません。褒めるバリエーションがなくなってきたなと感じたら、「○○さん(医師/看護師長/他の先輩看護師/患者さま)が、△△△と褒めてたわよ」と伝えてあげるのも良いでしょう。上にいる人達が褒めていた事実を言うだけで、上司である自分自身も同じ思いであることも一緒に伝えることができます。ここで気をつけたいのは、嘘をつくこと。実際には褒めていないのに、褒めていたというのは止めましょう。嘘がバレたときに、上司と部下の信頼関係は簡単に崩れてしまいます。

それぞれの部下をそれぞれに褒める

目立たない部下に注目して、褒めてあげましょう

仕事ができて、誰からも評価をされている人はわざわざ褒める必要はありません。上司として褒めるべき部下は自己主張が苦手な目立たない仕事をしている人です。こういった人は指示されたことを素直にコツコツとする努力型です。そのような部下を褒めると「上司は私をちゃんと評価してくれている」と信頼を得ることができ、職場の雰囲気も良くなるでしょう。

ひとりづつ、別の言い方で褒めるようにしましょう

褒め方として「いいね」「すごいね」などと抽象的な褒め方はしていませんか?部下を褒めるときは日頃からひとりひとりをよく観察して、その人にあった指導法や褒め方をしていきましょう。そうすることで部下は少しずつ、自信ややる気がアップしていきます。

レディネスレベルを考える

「レディネスレベル」とは、部下指導をする際の大前提の考え方です。「レディネス」=心理学で使われる「準備性」を意味する言葉。心も体も準備するには、発達水準(やる気・モチベーション・自信)と知識・技能の習得状況(能力)の2つが大きく関わります。これ使い、部下を4つのレベルに分けて支援のやり方を変え、部下を伸ばしていくのです。

【レディネスレベルの分け方】

(1)能力が高く、意欲も高い人
とても優秀。特別に指導をしなくても自ら伸びていくことができます。その一方で、誤った方向へと突き進んでしまうこともあるので、しっかりと見守る必要があります。
支援方法:習性を理解する/発言の意味を理解する/相手が希望する関係性を築き上げる
(2)能力は低い一方で、意欲は高い人
新人さんに多いタイプがこれ。潜在能力は高いが、業務を遂行する知識やスキルが低い状態です。支援がうまくいけば(1)へと成長してくれます。
支援方法:意欲を刺激する、コーチングの言葉がけを効果的に行う※具体的には、「それができるようにするには、どうしたらいい?」「似たような状態の仲間がいたら、どうアドバイスする?」といった言葉を使います。
(3)能力が高く、意欲が低い人
即戦力となることができる人。モチベーションさえ上げることができればOKです。
支援方法:このタイプの人の仕事への価値基準を理解する※具体的には、「仕事をする上で大切なことはなんですか?」と何度も確認をしましょう。最終的に10項目ほど聞くことができれば、価値基準をしっかり理解ができるようになります。
(4)能力が低く、意欲も低い人
サポートを長く行っていく必要がある人です。指導者である上司自身が最も成長できる。
支援方法:落ち込ませない/誤りなどはしっかりと注意する/サンドイッチフィードバック※「認める、注意する、認める」でフィードバックをする。最後に褒められると注意が残らない危険性があるので「褒める、注意する、褒める」より効果があります。

このように、さまざまな方法で一人ひとりに合った褒め方、支援の仕方が可能です。少しずつ実践に移しながら、デキる上司へとなっていきましょう。

Category : 部下の仕事の生産性を上げるには?

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